認知症になった後でも家族信託の契約を結べるケースとは
将来の認知症に備えて、家族信託の活用を検討する方が増えているようです。
しかし、契約の際に判断能力が低下していると、手続きができなくなる可能性が高まります。
本記事では、認知症と家族信託の関係性や、契約に必要な判断能力の基準について解説します。
家族信託の基礎知識
家族信託は資産を家族に託して管理する仕組みです。
所有者が判断力のある時期から準備できるため、財産の管理方針に本人の意思を反映できます。
認知症でも家族信託はできるのか?
家族信託を利用すると、親の認知機能が低下した場合でも、子どもによる財産管理が可能です。
資産の運用や必要な投資、収益の確保といった判断を子どもが行えるようになります。
ただし、判断力が著しく低下してからでは手続きができなくなる可能性があるので注意が必要です。
原則として家族信託契約は認知症を発症すると利用できない
家族信託の契約には、本人の十分な判断力が欠かせません。
そのため、認知症により判断力が低下してからでは、契約を結ぶことができません。
契約者が認知症を発症すると、内容の理解や意思決定が困難となり、契約自体が無効となるからです。
家族信託を、認知症への備えと考えている場合、判断能力が十分なうちに家族で話し合い、契約を結ぶようにしましょう。
認知症の場合でも家族信託を利用できる基準と具体例
家族信託の契約で必要な判断力の基準とはどのようなものでしょうか。
以下では、認知症でも家族信託が利用できるケースの判断基準と、具体例を解説します。
家族信託契約が結べる可能性があるのは軽度認知症の場合
認知症には複数の段階があり、症状の程度は一様ではありません。
軽度認知障害(MCI)の段階であれば、家族信託を結べる可能性が残されています。
この状態は、記憶力の低下はみられるものの、日常生活への大きな支障はなく、ある程度の判断能力も維持されています。
現在、国内の65歳以上の高齢者の約15%が認知症と推計されていますが、その症状や程度は個人差が大きく、一律に判断することはできません。
そのため、認知症と診断された場合でも、医師による詳しい判断能力の評価と併せて、家族信託の利用を検討することができます。
認知症でも家族信託が利用できる具体例
認知症の診断を受けた方や介護が必要な状況でも、家族信託は利用できるのでしょうか。
結論として、初期・軽度の認知症である場合であれば、家族信託を利用できる可能性はあります。
ただし、家族信託を利用するには、「判断能力」があることが前提です。
この場合の判断能力とは、契約内容を理解できているかどうかを指します。
家族信託契約を結ぶための判断能力があるかどうかは、公正証書を作成する場合は公証人が判断することを覚えておきましょう。
次のような場合には、軽度の認知症でも家族信託が進めやすくなります。
・相続人が子供だけの場合
・家族全員の同意と協力が得られる場合
・信託契約を公正証書とする場合
このような場合でも、可能であれば、判断能力があったと分かるような、客観的な資料を残しておくことをおすすめします。
契約の実現には、司法書士などの専門家による面談で判断能力を丁寧に確認することが重要です。
契約内容を判断能力に合わせて調整することで、実現できる場合もあります。
専門家との相談を通じて、現在の状況に適した方法を見つけることが大切です。
まとめ
家族信託は財産管理を家族に託せる仕組みです。
認知症への備えとして活用する場合、契約者の判断能力が十分なうちに準備を進めるようにしましょう。
軽度認知障害の段階でも契約できる可能性はありますが、判断能力の評価が必要となります。
具体的な契約内容や手続きについては、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
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